本研究では、有明海底泥の巻き上げに伴う懸濁層における栄養塩動態、特に底泥土粒子への栄養塩の吸脱着特性について現地調査や室内実験より検討、考察した。その結果、①.現場海域における巻き上げ時の水質環境と栄養塩濃度の時空間変化が把握された。②.六角川河口付近の懸濁層におけるNH4+とPO43-濃度には、激しい底泥の巻き上げと河川水からの移流が相互に影響していることが重回帰分析より示された。③.底泥の巻き上げ実験より、懸濁層におけるNH4+とPO43-濃度の変動には、巻き上げられた土粒子から脱離した吸着態由来のNH4+とPO43-が大きく寄与し、それは巻き上げ強度(SS濃度)に依存することが示された。
|