ウシ胎盤性ラクトジェン(bPL)の生理的役割について、特に胎盤で産生される酵素による切断に注目し、切断されて生じるN末端断片の生理活性について検討した。bPLは、マトリックスメタロプロティナーゼやカテプシン類によってC末端側が切断され、完全長型よりも約6kDa小さなN末端断片が生じる。このN末端断片は、bPLが本来有するプロラクチン様活性を持たないが、血管内皮細胞の増殖を抑制作用が認められた。酵素切断処理をしていない完全長型のbPLは血管内皮細胞の増殖に影響を与えなかった。本研究によって、bPLは酵素切断によって本来のプロラクチン活性とは全く異なる新規の生物活性が発現する事が確認された。
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