本研究では強力な抗炎症物質である糖質コルチコイド(Glc)に注目し、炎症様反応である排卵前後のウシ卵丘卵母細胞複合体(COC)におけるGlc代謝とその調節機序について検証した。その結果、ウシCOCでは、1)Glc活性型酵素HSD11B1と非活性型酵素HSD11B2が発現しており、排卵・受精に向けて局所のGlcレベルを上昇させる機構が稼働すること、2)COC由来局所因子によってこの機構が増強されること、3)Glcとクロストークする可能性がある自然免疫系が存在すること、などが明らかになった。以上のことから排卵・受精前後のウシCOCではGlcが重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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