研究課題/領域番号 |
25460059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山本 融 香川大学, 医学部, 教授 (10251480)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大脳皮質 / 統合失調症 / 自閉症 / MDGA1 / MDGA2 / シナプス形成 / 行動解析 |
研究概要 |
MDGAタンパク質はイムノグロブリンスーパーファミリーに属するGPIアンカー型の細胞外タンパク質であり、発現様式の異なるMDGA1とMDGA2の2種のファミリー分子よりなる。これまでにMDGA1ノックアウトマウスの作製・解析から、発生時における大脳新皮質の形成過程において重要な役割を果たすことを明らかにしてきたが、MDGA1/2ともに、その発現は大脳皮質構築後も終生続き、生後の回路網構築とその制御においても何らかの役割を果たしていることを想定していた。さらに、近年ヒトの遺伝学的解析から統合失調症・自閉症の病因因子の一つであるとする報告が相次いだこと、また、シナプス形成・維持に関与する因子群との相互作用が確認されたことから、本研究では、MDGAファミリー分子群の回路網形成機構における機能解明を目的に解析を進めることとした。本年度はMDGA1・MDGA2ノックアウトマウスの解析を進めた。MDGA2ノックアウトマウスは生存率が低く、生育にも顕著な遅れが認められていたが、バッククロスの進行とともに、すべて生後致死となった。しかしながら、ヘテロ接合体に認められる異常があることから、生後におこなうべき解析は当面ヘテロマウスで進めることとした。また、系統的行動解析により、MDGA1ノックアウトマウスにおいては、プレパルスインヒビションが抑制されていることが明らかとなった。プレパルスインヒビションの抑制は統合失調症患者およびモデル動物で共通して認められているエンドフェノタイプであり、MDGA1と統合失調症との連関を支持するとともに、MDGA1ノックアウトマウスの統合失調症モデルマウスとしての有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MDGA2ノックアウトマウスの行動解析に向けたバッククロスが順調に進行するとともに、MDGA1ノックアウトマウスの行動解析が進み、その基本的性状が明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
MDGA1ノックアウトマウスの行動解析により明らかとなった諸点について解析を進めるとともに、そのミクロエンドフェノタイプの抽出を試みる。また、MDGA2ノックアウトマウスの行動解析を開始する。さらに、シナプス形成制御因子群との相互作用様式についての細胞生物学的・生化学的解析を進め、MDGAファミリー分子群との相互作用を標的とした統合失調症・自閉症新規治療薬の探索に向けたハイスループットスクリーニング系構築の検討をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
前任地の北海道大学から現任地の香川大学への異動に伴い、一部研究計画の中断を余儀なくされたため。 中断されていた研究は本年度末より再開しており、その遂行に必要な経費として次年度での使用が予定されている。
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