研究課題/領域番号 |
25460215
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
賀川 義之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90397505)
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研究分担者 |
山本 吉章 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (60596245)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / ドネペジル |
研究実績の概要 |
本研究では、ドネペジルを始めとする認知症治療薬やそれらの代謝物の薬物体内動態に着目して、認知症で患者および介護者のQOLを著しく損ねている周辺症状の行動・心理症状(BPSD)の発現状況との関連性を詳細に評価し、BPSDの発現を最小限に抑える認知症の薬物投与法を探索することにある。平成26年度の研究成果は以下の通りである。国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターの研究倫理委員会の研究倫理委員会の承認を得て、静岡てんかん・神経医療センターにて加療中のドネペジル投与患者50名以上から研究参加の同意を取得し、ドネペジルおよびその活性代謝物である6-O-desmethyl体の血漿中濃度を、新規に開発した高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)による高感度測定法を用いて測定した。このドネペジルおよび6-O-desmethyl体の血漿中濃度のLC-MS/MS測定法は、0.1 ng/mLから100 ng/mLまでの血漿中濃度を高い再現性で測定できるものであり、2015年3月の日本薬学会第135年会(神戸)において成果を発表した(演題名:有害事象解析を志向したドネペジルおよび代謝物の血中濃度同時測定法の開発)。また、患者のカルテから患者の容態、薬物動態・治療効果に影響する可能性がある臨床検査値、併用薬情報を入手した。認知症治療薬の治療効果とBPSDを含む有害事象の発現状況をMini-Mental State Examination (MMSE)およびNeuropsychiatric Inventory (NPI) スコアを用いて測定した。現在、症例をさらに集積して、BPSDとドネペジルの薬物動態について、統計学的手法を用いて解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドネペジルおよび代謝物の高感度薬物血漿中濃度測定法を開発することに成功している。 本研究に参加している認知症患者は50例以上に達しており、順調に被験者のリクルートが進んでいる。 研究参加患者の薬物血漿中濃度を測定するとともに、BPSDの指標であるNPIスコアおよび認知症のMMSEスコアも順調に取得している。
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今後の研究の推進方策 |
ドネペジル以外の認知症治療薬の中で、作用機序の異なるメマンチンに注目し、その血漿中濃度測定法を現在、LC-MS/MSで開発中である。メマンチン服用患者を対象にするため、研究倫理委員会の申請を行い、認知症の病態やBPSDとメマンチン血漿中濃度の関係を解明する研究をドネペジルの研究と平行して進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究用試薬の購入が予定より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分を含めて、研究費を有効に活用していく。
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