認知症では中核症状の認知障害に加えて、周辺症状の行動・心理症状(BPSD)が問題化している。本研究では、BPSDの発現とdonepezilの薬物動態との関係を検討した。まず、ドネペジルおよび主代謝物の血漿中濃度を0.1 ng/mLの高感度で測定できるLC-MS/MS法を開発した。この測定法を用いて検討したところ、donepezilの血漿中濃度とBPSDの発現に関連が認められ、donepezilの血漿中濃度が治療域を超える患者ではBPSDの発現がむしろ抑えられていた。この結果は、BPSDの発現を抑えながら認知症治療を行う上で、臨床上の重要な知見と考えられる。
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