ヘルパーT細胞分化のマスター転写因子としてThPOKが同定された。ThPOKはZinc fingerを持つ転写因子で、Zinc fingerに変異があるマウスならびにThPOKを欠損するマウスはヘルパーT細胞を有さないことから、ヘルパーT細胞分化に必須であることが知られている。さらに、ThPOKを欠損するMHC class II 拘束性ヘルパーT細胞様細胞では機能が著しく低下することから、ThPOKがヘルパーT細胞機能発揮に重要な役割を果たしていることは明らかである。しかしながら、ThPOKの標的遺伝子は未だ不明である。ThPOK転写因子の標的遺伝子の同定をcDNAマイクロアレイとChIP on chip法により行い、その結果、164個のThPOK標的遺伝子候補を見出した。それら候補遺伝子の中でヘルパーT細胞では発現が認められず、しかし、細胞障害性T細胞で発現が見られ、さらにThPOK欠損T細胞でも発現が見られる遺伝子(ThPOKにより発現が抑制される遺伝子)に注目し、これら候補遺伝子の中でCxxc5遺伝子を選んだ。 T細胞特異的にCXXC5を発現するTransgenic Mouse)を作成し、ヘルパーT細胞特異的に発現するCD40Lの発現を調べたところ、その発現は著しく抑制されていた。CD40Lの発現抑制機序を検討したところ、Cd40lg遺伝子のプロモーター領域におけるhistone H3 lysine 9のメチル化が起きていた。さらにCXXC5がhistone methyltransferaseであるSuv39h1と結合することを見出した。
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