遺伝的背景の異なる広東住血線虫(Ac)の病原性について検討した。①感染感受性の高いスナネズミに10隻を経口感染させたところ、ハワイ株感染群では45日目までにすべての個体は死亡したが、小笠原株と千葉株感染群では30%の個体は生存した。②感染後45日目のハワイ株と小笠原株感染スナネズミからはAc本来の寄生部位である肺動脈と心臓から虫体が回収され、糞便内には第1期幼虫も検出された。しかし、千葉株では大部分の虫体は脳内にとどまったままで、肺動脈と心臓に移行した虫体もすでに死亡しており、糞便中にも第1期幼虫は検出されなかった。 以上より、異なるハプロタイプを持つAcは病原性にも違いがあることが示唆された。
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