研究課題/領域番号 |
25460771
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
福島 若葉 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70420734)
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研究分担者 |
田淵 貴大 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特別研究員 (20611809)
福原 宏幸 大阪市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20202286)
川野 英二 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (20335334)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
大藤 さとこ 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70433290)
松永 一朗 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (90250323)
近藤 亨子 大阪市立大学, その他部局等, 技術職員 (80420727)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 検診 / 肝炎ウイルス / がん / 受検勧奨 / 社会経済要因 |
研究実績の概要 |
平成23年実施の横断研究「大阪市民の社会生活と健康に関する調査」(対象:25~64歳の都市部住民3,245人)のデータを使用し、肝炎ウイルス検査・がん検診の受検関連因子について、マルチレベル分析も含めた詳細検討を行った。また、地域の社会経済構造について、外部データも活用した分析を行った。
1)がん検診のうち、前立腺がんのスクリーニングとして使用されているPSA検査に着目して受検の関連因子を検討した。Healthy-user bias(受検者は健康意識が高いために生じるバイアス)の影響を回避するため、大腸がん検診(便潜血検査)の受検状況に関する情報を活用した分析枠組みで検討した結果、「高齢」「高学歴」に加えて「医者の指示は忠実に守る」ことがPSA検査に特異的な受検関連因子として検出された。PSA検査による前立腺がんの死亡率減少効果は証明されておらず、対策型検診として推奨されていないことから、受検者だけでなく医師に対する啓発も必要かもしれない。 2)マルチレベル分析により、個人レベルと地域コミュニティーレベルの両者の視点から肝炎ウイルス検査・がん検診受検の関連因子を予備的に検討した。肝炎ウイルス検査については、「日頃からサポートを受けている」「PTAに所属している」など、サポートネットワーク・所属ネットワークを有することが受検と関連していた。がん検診については、仕事をしていない層や、学歴・収入が不利な層で受検回数が少ない傾向が示された。また、男性では未婚であること、女性では本人の学歴だけでなく配偶者の学歴も受検に影響していた。 3)地域の社会経済構造による文脈効果の分析(平成25年度に予備的分析を実施)を補完するため、2010年小地域統計データを入手し、2005年から2010年について大阪の社会空間構造の変化を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)肝炎ウイルス・がん検診の受検関連因子について、healthy-user biasの考慮やマルチレベル分析の適用も含めた検討を行うことができた。 2)地域の社会経済構造について、外部データも活用した分析により、平成25年度の結果を補完することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)肝炎ウイルス・がん検診の受検に対する個人レベルと地域コミュニティーレベルの効果について、今年度の予備的結果を踏まえ、マルチレベル分析でより詳細に検討する。 2)これまでの結果を統合し、肝炎ウイルス・がん検診の受検を効果的に勧奨しうるモデルについて、社会政策としての実現可能性も考慮しながら検討する。また、当該モデルに基づいた介入プラン案と、その効果を評価するための新たな研究を計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要物品の納品が、年度内の期限に間に合わないことが分かったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に必要物品を購入して使用する。
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