珪肺症は、珪酸粉塵を慢性的に吸入することで惹起される塵肺である。特筆すべき点として、自己免疫疾患を高頻度で合併する。本研究では珪肺症例における自己免疫疾患合併機構の解明を目標とした。培養系の実験で珪酸曝露により自己免疫疾患発症と密接に関わるTh17細胞の分化・維持に重要なIL-6およびIL-23の発現が誘導されることを見いだした。また、免疫応答の収束を阻害する血漿中DcR3が健常人に比べ珪肺症例で顕著に増加するが、特定の自己抗体とは相関していなかった。血漿DcR3は特定の自己免疫疾患への方向付けではなく、慢性的な免疫動態の活性化を示しており、珪肺症例では免疫反応が亢進していることが示唆された。
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