研究課題
限局期肺癌に対する定位放射線治療は、その良好な治療成績及び低侵襲であることから、特に手術不能症例に対して、最も有効かつ安全な治療方法の一つと考えられている。一般に定位放射線治療は、全身状態不良例あるいは高齢者が治療対象となる場合が多く、有害事象については細心の注意を払う必要がある。放射線治療後の特異的な合併症として放射線性肺臓炎/肺線維症があり、肺機能低下の原因となり得るが、現時点で患者毎の肺臓炎/肺線維症による肺機能低下の程度を予測する手段は無い。本研究の目的は、肺機能画像(肺換気血流シンチグラフィおよび肺CT灌流画像)を用いて、患者個々の治療前の肺機能および腫瘍の局在をパラメータとして用いることで、定位放射線治療後の残存肺機能を患者毎に算出する予測式(dose function histogram)を確立することである。まず、過去に九州大学病院にて肺癌定位照射を施行した症例のうち、定位照射前に肺換気・血流シンチグラフィ(SPECT/CT融合画像)を施行している症例について、ある線量が照射される肺の体積とその体積内の換気血流量の関係をグラフ化し、dose-function histogramを作成、肺機能低下を予測するパラメータを検索する予定であった。今後症例を集積していく予定であったが、転勤のため、やむなく中断し、十分解析できていない。現在のところ、後方視的に肺機能の経時的変化の解析を行い、適切な評価時期および評価項目の決定を行った。データ集積の中で、当院での定位放射線治療の治療成績および肺機能低下の原因となる肺臓炎や気胸等の有害事象の頻度が明らかとなったため、学会にて報告した。
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