幹細胞の悪性腫瘍である滑膜肉腫細胞株に対する、脂溶性ビタミンの分化誘導効果について検討した。滑膜肉腫細胞株HS-SY-IIの培地にビタミンA活性代謝産物であるレチノイン酸あるいはビタミンK(メナキノン)を添加して培養、細胞分化に関わる各種遺伝子発現を検討した。これらの脂溶性ビタミン投与により、骨芽細胞あるいは軟骨細胞への分化が促進され、脂肪細胞への分化は抑制傾向にあり、その効果はメナキノンよりレチノイン酸の方が顕著であった。軟部肉腫における核内受容体を介した脂溶性ビタミンの分化誘導効果が明らかとなり、軟部肉腫での分化誘導療法の可能性が示唆された。
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