閉経後の女性における糖尿病性心不全の背景には、心組織内の微小循環異常がある。この病態に対する選択的エストロゲン受容体(ER)の役割を解析する目的にて、1型糖尿病モデル(ストレプトゾトシン投与)を、ERアルファ-ノックアウト(ERαKO)、ERβKOの2系統に誘導し、心機能、心組織におけるVEGF(血管内皮増殖因子)関連分子の発現等を野生型との比較において検討した。KO群では心機能低下、VEGF発現低下がみられ、特にERαKO群では有意であった。閉経後の糖尿病性心不全の病態にはエストロゲン減少・枯渇状態が関連しており、特にα受容体が優位に関与している可能性が示唆された。
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