研究課題/領域番号 |
25462717
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三田村 佳典 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30287536)
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研究分担者 |
堀田 芙美香 徳島大学, 大学病院, その他 (80645838) [辞退]
江川 麻理子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70507657)
三野 亜希子 徳島大学, 大学病院, 医員 (50531836)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外科 / 細胞・組織 / 生体分子 / 糖尿病 / 臨床 |
研究実績の概要 |
近年の研究によってPPARγ(peroxisome proliferator-activated receptor gamma)がインスリン抵抗性という糖尿病の基礎的病態に重要な役割を担っているのみならず、腫瘍の増殖などに伴う異常な血管新生に関わっていることが明らかになってきた。また、眼内にPPARγの抑制剤を投与すると脈絡膜新生血管が抑制されることが報告されており、増殖糖尿病網膜症の増殖膜など血管新生が促進されている組織ではPPARγの増加が予想される。また、PPARγの発現を抑制することにより増殖糖尿病網膜症における血管新生を抑制できる可能性があり、PPARγを標的とした糖尿病網膜症治療の可能性を探求する本研究を施行した。 1)硝子体手術時に得られた検体を解析するに当たっては、倫理委員会での承認を得たうえで、対象患者からは充分なインフォームドコンセントを得た。平成25年度に引き続き黄斑円孔・黄斑上膜(新生血管を含まないコントロール)、増殖糖尿病網膜症の手術時に灌流液を流す前に前房水・硝子体を吸引した後、直ちに-80℃にて保存した。また、黄斑上膜、増殖糖尿病網膜症の増殖膜検体を採取し、免疫染色用検体については直ちにOCT compoundに包埋し凍結させた後、-80℃にて保存した。 2)増殖糖尿病網膜症の前房水・硝子体液検体についてはELISAキットを使用してPPARγ量を測定した。同時に総蛋白量も分光光度計を使用して測定し、総蛋白量でPPARγ量を補正した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)増殖糖尿病網膜症ならびにコントロールとして黄斑円孔・黄斑上膜症例の硝子体ならびに前房水検体176検体を硝子体手術時に眼内還流液の還流を始める前に採取した。統計学的解析に必要なサンプル数が確保できたので、ELISA法による硝子体・前房水PPARγ濃度の測定をすべての検体について施行した。また同検体においてVEGFなど血管新生に関与するサイトカインの発現分泌量変化についてもELISA法を用いて調べた。また近年、眼科領域では抗VEGF抗体を用いた治療が盛んに行われるようになってきており、抗VEGF抗体の眼内注射後のPPARγ量の変化についても解析を進めた。 2)硝子体・前房水PPARγ濃度は増殖糖尿病網膜症症例においてコントロールである黄斑円孔・黄斑上膜症例と比較して有意に高値を示した(P<0.0005)。また、増殖糖尿病網膜症症例において硝子体・前房水PPARγ濃度はそれぞれ硝子体・前房水VEGF濃度と有意に相関していた(P<0.0005)。さらに増殖糖尿病網膜症症例において病期が進行し増殖膜が広範囲に存在する症例ほど硝子体・前房水PPARγ濃度は有意に高かった(P<0.0005)。手術前に前治療として抗VEGF抗体の眼内注射を行った増殖糖尿病網膜症症例では行わなかった症例と比較して、硝子体VEGF濃度は抗VEGF抗体の作用により有意に低下していた(P=0.0009)が、硝子体PPARγ濃度は有意に高かった(P<0.0001)。このことから、増殖糖尿病網膜症においては眼内のPPARγの発現がVEGFと連動して有意に増加していることが示せた。また、現在普及している抗VEGF療法を施行してもPPARγの発現が低下しないことからPPARγを標的とした糖尿病網膜症治療が抗VEGF療法を補完する治療法になる可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成25年度に引き続き黄斑上膜(新生血管を含まないコントロール)、増殖糖尿病網膜症の増殖膜検体を採取し、免疫染色用検体については直ちにOCT compoundに包埋し凍結させた後、-80℃にて保存する。 2)平成25年度に引き続き、黄斑上膜、増殖糖尿病網膜症の増殖膜検体から凍結切片を作成し、蛋白レベルでの発現パターンについてPPARγ抗体を用いた免疫染色法により比較する。さらに、血管内皮細胞などの特異抗体との免疫二重染色を行い、増殖糖尿病網膜症の増殖膜におけるPPARγの局在について検討する。 3)PPARγは核内受容体であるので、眼内の細胞から硝子体・前房水にPPARγが分泌されていることを確認するために、PPARγをエンコードしたプラスミドを導入した培養ヒト臍帯静脈内皮細胞から放出されるエクソソーム分画のPPARγをイムノブロット解析で検出する。
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