研究課題/領域番号 |
25463408
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮下 美香 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (60347424)
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研究分担者 |
三木 恵美 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 助教 (40610788)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん化学療法 / 認知機能障害 / 尺度開発 / 患者教育 / 速度フィードバック療法 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、認知機能障害の評価尺度であるFunctional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function Version 3 (FACT-Cog)の日本語版を開発すること、および化学療法を受けている、もしくは受けたがん患者に対する無作為化比較試験を実施し、教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入の認知機能障害に対する有効性を検証することである。 平成26年度は、平成25年度に引き続きFACT-Cogの日本語版の開発に取り組んだ。研究代表者がFACIT事務局のコメントに基づき最終案を作成し、逆翻訳を行った後に微修正を加え最終版を確定させた。10人のがんサバイバーへの予備調査の後、最終版の信頼性と妥当性を確認するため、357人の乳がんサバイバーを対象とした調査を実施した。 結果、236人(66.1%)より有効回答が得られた。4つの下位尺度のCronbachのα係数は0.73-0.95であり、十分な内的整合性が得られた。FACT-Cog日本語版の各下位尺度と外的基準として用いたQOL (The Functional Assessment of Cancer Therapy-General (FACT-G) version 5とのPearsonの相関係数については、FACT-Cog日本語版の下位尺度である「他者からのコメント」とFACT-G version 5の合計および下位尺度の「社会・家族面: Social/family well being」「心理面: Emotional well being」以外の全てにおいて有意な正の相関関係が示されたことから、一定の基準関連妥当性が確認された。更に、共分散構造分析を行った結果、χ2=1361.8 (p<0.001), GFI=0.731, AGFI=0.691, CFI=0.848, RMSEA=0.084であり、モデルの適合度がよいとは評価できないが、受入可能なモデルであることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度末までに、本研究で実施する無作為化比較試験に対し研究倫理審査委員会の許可を得る計画であったが、承認を得られていない。一方、交付申請書においては、無作為化比較試験の中でFACT-Cog日本語版を開発する予定であったが、平成26年度に調査を実施し開発を完了した。従って、研究目的の達成度を「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、研究倫理審査委員会の承認を得た後に、化学療法を受けている、もしくは受けたがん患者に対する無作為化比較試験を実施し、教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入の認知機能障害に対する有効性を検証する。目標とする対象者数を得て研究を完了することに困難さが生じると予測されるため、複数の施設の協力を得てリクルートを行い、更にインターネットも活用し広く情報を発信し効率的に対象者を得られるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付申請書においては、無作為化比較試験の中でFACT-Cog日本語版を開発する予定であったが、平成26年度に調査を実施し開発を完了したため、予定していた無作為化比較試験の実施に遅れが生じた。従って、無作為化比較試験の実施に係る助成金を使用しなかったことから、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度において、化学療法を受けている、もしくは受けたがん患者に対し、無作為化比較試験を実施し、がん化学療法に関連した認知機能障害に対する教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入の有効性を検証する。当該助成金は、無作為化比較試験の計画、実施、結果のまとめに使用する予定である。
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