研究課題/領域番号 |
25463408
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮下 美香 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (60347424)
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研究分担者 |
三木 恵美 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (40610788)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん化学療法 / 認知機能障害 / 尺度開発 / 患者教育 / 速度フィードバック療法 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、認知機能障害の評価尺度であるFunctional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function Version 3 (FACT-Cog)の日本語版を開発すること、および化学療法を受けている、もしくは受けたがん患者に対する無作為化比較試験を実施し、教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入の認知機能障害に対する有効性を検証することである。 平成27年度は、認知機能障害に対する介入の有効性を検証する研究の実施を開始した。本研究は、乳がんに対する化学療法を受けた経験があり、かつ経口ホルモン療法を受けている患者に対し、乳がんとその治療に関連した認知機能の変化の改善を目的とする教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入プログラムを行い、通常のケアを行う対照群に対する優越性を証明するための無作為化比較対照試験である。対象は、教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入を行う群(介入群)、教育を行う群(教育群)、通常のケアを行う群(対照群)の3群に無作為に割り付けられた。目標症例数は、先行研究(King S, & Green HJ, 2015)に示されたデータに基づき算出し、脱落を10%と見積り各群37人、合計111人とした。主要評価項目は、がん患者用の自記式認知機能評価尺度である日本語版FACT-Cog、副次評価項目は、がん患者用の健康関連QOL評価尺度であるFunctional Assessment of Cancer Therapy-General version4 日本語版(FACT-G)とした。研究代表者の所属施設の臨床研究倫理審査委員会の承認を得た後、研究を開始した。対象者のリクルートをチラシやホームページを活用し広く行ったが、平成27年度末までに得られた対象者は2人であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度末までに認知機能障害の評価尺度であるFunctional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function Version 3 (FACT-Cog)の日本語版の開発を完了し、平成27年4月にOncology Nursing Society 40th Annual Congressにて発表を行った。 平成27年度末までに、介入の有効性を検証するための無作為化比較対照試験を完了する予定であった。研究倫理審査委員会における承認手続きは予定どおり進行したが、対象者のリクルートが予想以上に進まず、平成27年度末までに終えることができなかった。従って、研究目的の達成度を「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においては、対象者の引き続きリクルートを行い、目標症例数に達するまで研究を継続する。なお、対象者をより得やすくするため、リクルートを行う施設や患者団体を増やす予定とし、平成27年度末までに研究計画変更の承認を臨床研究倫理審査委員会より得た。また、新たに出された研究成果に基づき目標症例数を計算しなおし、対象者数を減らすことも検討する予定である。その際も、臨床研究倫理審査委員会の承認を得た後、研究計画を変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度末までに無作為化比較対照試験を完了する予定として研究の実施をスタートさせたが、目標とする対象者数を得られなかったため平成28年度も継続して行うこととした。従って、無作為化比較対象試験の実施に係る助成金として次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度においては無作為化比較対照試験を継続し、がん化学療法に関連した認知機能障害に対する教育と速度フィードバック療法を組み合わせた介入の有効性を検証する。当該助成金は、無作為化比較対照試験の実施および結果のまとめに使用する予定である。
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