研究課題/領域番号 |
25463409
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
青木 早苗 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 講師 (40516168)
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研究分担者 |
山脇 京子 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 教授 (10516165)
高橋 永子 高知大学, 医歯学系, 教授 (90403899) [辞退]
寺下 憲一郎 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 助教 (90584409)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 乳がん女性 / パートナー / セクシュアリティ |
研究実績の概要 |
本年度は,セクシュアリティサポートを必要とする乳がん治療を受ける女性とそのパートナーが,セクシュアリティの問題に立ち向かうプロセスを明らかにすることを目的に研究を進め,乳がん女性11名,パートナー4名からデータを収集した.まだ分析途中であるが,現在までの分析では下記の結果を得ている. 乳がんと診断された女性は,《今を生きること,未来の構図に暗雲が漂い,すべてを失う感覚》,《夫に対する自責の念に苛まれる》体験をしていた.一方でパートナーは,《妻を失う恐怖》を感じ,何よりも《妻の命を最優先する》ことを望んでいた.ここでは,《相乗作用の落ち込み》,《互いの見解の相違》を経験していたが,専門的知識を持つ人のサポートによって,《光に導かれる》体験をしていた.また,治療段階では,一緒に《限りある命を生きる》こと,パートナーは《乳がんに対する探索》をしていた.その中で《察するに余りある互いの思いの実感》をし,《互いが支えであることを再認識》していた.また《暗黙の役割認識》や《自分たちなりのコミュニケーション手段の活用》をしながら,自然体でいるという《自分たちの「形」を認識》していた.治療がひと段落つけば,《病気を持ちながら未来を描く》ことにも目が向きはじめ,パートナーのみならず,《家族や友人との繋がりや大切さを実感》しながら生活していた.性生活は,《体調に合わせて性交に臨んだり,性交に代わる行為で代行》したりしていた.特に女性は,自分に向けられる関心によって《身体だけでなくこころでの繋がりを実感》していた.一方で男性は,性欲や表出できない内面の発散場所を確保することで《こころと身体のバランスを保ち》,妻が治療に専念できるように配慮していた.しかし,自分の性欲のままに行動するパートナーも存在していた.子どもを産み,育てるという観点では,《出産・遺伝性への懸念》も見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象選定等,個人的な問題であることを多く含んでいるため,データ収集に時間を要したが,現在データ収集は終了し,研究者間で分析を見直している段階である.また,この分析結果を基に実際に認定看護師がどのようにサポートをしているのか,どのようなサポートが必要だと考えているのかをデータ収集していく必要があるため,もう少し時間を要する.しかし,今後は,看護師対象のデータ収集であるため,研究の進捗も早くなっていくと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まずセクシュアリティの問題に直面した乳がん治療を受ける女性とそのパートナーに対する医療者の支援の実際と医療者を対象とした教育の現状を明らかにすることを目的に研究を行う.全国の乳がん看護認定看護師のうち,セクシュアリティの問題に直面した乳がん治療を受ける女性とそのパートナーに関わった経験のある人に対して質問紙調査を行い,その後データ内容に応じて,協力者にインタビューを行う.質問紙は,乳がん女性とそのパートナーから得たデータ,参考文献を元に作成する. そして,今までの研究結果を基に乳がん看護認定看護師やがん化学療法認定看護師,乳腺外科医などを含めて支援体制を考え,実現可能となるようなセクシュアリティサポートモデルを構築する.構築したものは,web上の公開と報告会によって公開予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は学会等の参加,データ収集に関して予定通りの進まなかったため差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は学会発表への参加により使用する.
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