ω3脂肪酸は種々の炎症病態において抗炎症作用を示すが、出血性ショックなどの救急救命医療におけるω3脂肪酸の臨床栄養学的意義については検討が不十分であった。本研究では、出血性ショックモデルラットを用いて、ω3脂肪酸を強化した魚油脂肪乳剤を臨床に近い条件下で投与し、その抗炎症効果を解析した。その結果、短時間のω3脂肪酸投与によって肺や腸管の障害が有意に抑制されるとともに、ショック時の循環動態改善効果が認められた。また、EPA由来の各種代謝物の有意な増加も観察され、これら脂質代謝物が循環動態改善や抗炎症作用に関与していることが示された。
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