研究課題/領域番号 |
25504011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
須田 史朗 自治医科大学, 医学部, 講師 (40432207)
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研究分担者 |
西多 昌規 自治医科大学, 医学部, 講師 (10424029)
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 講師 (40398516)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胎生期低栄養 / 統合失調症 / 発症脆弱性 / 動物モデル / エピジェネティクス |
研究概要 |
統合失調症、うつ病などの精神疾患は通常青年期以降に発症するが、疫学研究の成果から病因の起源は胎生期から生じている可能性が指摘されている。また、幼少期の低いIQ、知識獲得・発達の遅滞は統合失調症をはじめとする精神疾患発症のリスク因子であることが報告されており、これらの認知機能発達障害は精神疾患の中間表現型であるとの理解が進んでいる。さらに、幼少時の低いIQや認知機能の障害は低出生体重と関連していることが指摘されている。本研究では胎生期低栄養と精神疾患発症脆弱性の形成との関連を検討するために、Sprague-Dawley系ラットを用い、胎生期低栄養暴露による動物モデルを作成した。 胎生期低栄養暴露と統合失調症発症リスクとの関連については、妊娠初期 (first trimester) の暴露が発症と強く相関することが指摘されているため、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期の低栄養暴露による表現系の差異について詳細に検討を行っている。胎生期の低栄養暴露と出生児体重の減少との関連は明らかであった。また、飼育中の行動観察からも、胎生期の低栄養暴露が出生後の仔ラットの行動に変化を与えている可能性が示唆された。現在、統合失調症、うつ病などの精神疾患と関連の深いドパミン・セロトニン神経系の変化、神経発達障害の指標である神経新生の低下、神経栄養因子群の発現変化についての免疫組織化学的手法を用いた解析が進行中である。 また、妊娠期間中の母ラットに対する観察から、母体への低栄養暴露が母性行動に変化を与えている可能性が示唆されており、その点の検討も並行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットの場合、ヒトの妊娠後期 (third trimester) に相当する時期は出生後に出現するという指摘があるため、妊娠後期低栄養暴露群では出生後に母ラットへのカロリー制限を負荷したが、基礎実験では仔ラットの生存率が減少したため、一部条件設定の変更を行った。しかし、その後の研究計画は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の検討を継続し、脳内微小透析法によるドパミン・セロトニン・GABA放出量の検討、行動学的評価を開始する。続いて、ラット胎児脳のエピジェネティクス解析に着手する。また、並行して母体への低栄養暴露と母性行動の変化との関連について検討を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
妊娠後期低栄養暴露群では出生後に母ラットへのカロリー制限を負荷したが、基礎実験において仔ラットの生存率が減少したため、一部条件設定の変更を行った。そのため、試薬類などの購入状況に若干の遅れが生じている。 免疫組織化学的評価、脳内微小透析法によるドパミン・セロトニン・GABA放出量の検討に必要な試薬類を購入する計画である。
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