研究実績の概要 |
本年度は、低廉な家賃の住宅提供を目指して、改修型のサービス付き高齢者向け住宅について、登録時の面積要件を18㎡から13.2㎡に緩和する独自の緩和要件を導入している東京都を対象として、全登録物件289 件 11,229戸(2015年11月時点)を悉皆調査し、ストック改修型の面積緩和要件による家賃抑制効果を確認した。 1)1戸あたりの専有部面積の平均値は、新築型の26.07㎡に対して改修型は25.23㎡と僅かに小さいが極端な差ではなかった。改修型住戸において、1戸あたりの専有部面積を18㎡から13.2㎡に大幅に緩和したが、必ずしも専有部面積が基準すれすれに抑えられた住戸は多くない実態が把握された。また、中央値についても新築型、改修型の差はほとんどみられなかった。一方、1戸あたりの共用部面積については、新築型4.21㎡に対して改修型は3.03㎡と専有部の差に比べると若干の違いが見られた。 2)住戸内設備の設置状況については、新築型では設備(住戸内の風呂・台所)を完備する住戸が6割、台所と風呂を設置しない、主に要介護者を想定した住戸が新築型の3割弱と設備は、両極に分かれたのに対して、改修型では台所と風呂を設置しない、主に要介護者を想定した住戸は2割弱にとどまり、多様な設備形態がみられた。 3)家賃については、新築型の平均109,517円に対して改修型では75,624円と69.05%にとどまった。また、家賃と専有部面積の散布図から、新築型では専有部面積が大きくなるほど家賃も高くなるのに対し、改修型では専有部面積が増えても家賃は新築型ほどは増加しておらず、改修型における面積緩和の効果は、低廉な家賃の住戸の提供に効果があることを確認した。 一方、共益費については、新築型・改修型のどちらも共用部面積の増加に比例して高くなり、共益費については独自基準の効果は見られなかった。
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