研究課題/領域番号 |
25517008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
羽山 伸一 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (80183565)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原子力災害 / ニホンザル / 放射線影響 / 繁殖 |
研究概要 |
2011年3月に発生した東日本大震災による福島第1原子力発電所の爆発により、福島県に生息するニホンザル(以下,サル)が放射性物質に被ばくした。そこで, 福島市のサルを対象として、被ばく状況やそれによる繁殖影響を明らかにすることを目的として、サルのセシウム測定および繁殖状況の検査を行った。 本研究に用いたサルは、鳥獣保護法の福島県特定鳥獣保護管理計画に基づき実施された個体数調整により福島市内で捕獲され、殺処分された個体である。2013年度は111頭を回収し、解剖した。筋肉中セシウム濃度の測定は、後脚の筋肉を500~1000g採取して定法に従って測定した。また、殺処分直後に心臓採血によって得た血液は、実験室内で血球数等の検査を行った。剖検時に得られた生殖器は、ホルマリンで固定し、病理組織観察用の標本を作製した。 筋肉中セシウム濃度は、被ばく直後に比べ漸減する傾向が見られ、500Bq/kg 前後を推移したが、越冬期には濃度が1,000Bq/kg以上に上昇し、この現象は、2011年の越冬期から毎年確認された。 繁殖状況は年度末時点で出産が終了していないため、正確な妊娠率は測定できないが、2008年以降観測している50%程度が見込まれ、有為な低下は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、捕獲個体の採取や分析が進められた。ただし、今年度はサルの餌環境が良好であったため、農作物被害も少なく、捕獲される個体も例年より少なかった。 また、組織標本の作製が年度末までずれこみ、組織学的な観察が十分にできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は標本数が少なかったが、通常は餌環境が良好な状況は2年連続して続かないため、20014年度以降十分な標本数が確保できると予想される。 また、セシウムの測定や病理標本の作製等は計画通り進んでいるため、今後とも研究計画を予定通り遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画より得られた標本数が少なく、標本作成経費の支出が少なかった。また、現地調査の旅費が自己資金で賄えたため、旅費の支出がなかったため。 今年度は、計画通りかそれ以上の個体数が捕獲されると考えられるので、繰り越した予算は標本作成経費として利用する。また、研究成果を国際学会で発表する予定なので、旅費の支出も計画通り行う。
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