本研究課題では、楕円曲線暗号に対する新しい攻撃法として、グレブナ基底を用いた多変数多項式による求解アルゴリズムを考察した。Semaev多項式の対称性を利用した高速化手法に注目し、グレブナ基底の計算の途中で多項式の次数が増大しない拡大体の基底表現によりメモリ量を削減する高速化を提案した。その結果、拡大次数29次の標数2の有限体上で定義される楕円曲線の離散対数問題を、計算代数ソフトウェアMagmaを用いてAMD Opteron 6276(メモリ512GB)において約34日で解くことができた。この解読実験データにより、想定される攻撃者の計算能力限界をより正確に評価できるようになった。
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