カオス,フラクタルなどの複雑系と呼ばれる分野では,べき分布が特徴的に現れる.このべき分布を指数関数の一般化としてとらえることにより,系統的に複雑系の構造が説明できることが近年わかってきた.本研究では,q-指数関数の自己相似性を用いて,連分数の近似精度に関する成果を得たが,当初得られると思っていたマルチスケールカントールの関係は未解明のままである.しかし,その研究過程で,従来の大偏差原理を特別な場合として含む,より一般的な大偏差原理の存在を示唆する重要な結果を得た.具体的には,q-指数関数から一般化二項分布を発見し,それより,α-ダイバージェンスがレート関数として初めて現れる重要な結果を得た.
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