本研究は、景観認識過程における脳の共賦活メカニズムを明らかにすることを目的として、fMRIを用いた実験と解析を行った。その結果、景観認識過程においては、特に快を誘発する景観画像群において、物体の客観的知覚・認知に係る腹側視覚経路よりも、自己と空間との関係性(視空間イメージ、自己身体定位、触知的・運動感覚的)の認知に関わる背側視覚経路の働きが優位であった。快を誘発する景観は、自己の行動可能性の条件に関わる可能性を示唆する。また、事物や空間の客観的判断と直観的判断との相互連絡(フィードバック/フォーワード)に係る楔前部の関与が示唆され、「感性」の機序や景観の評価機構に迫る上での重要な知見を得た。
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