研究課題/領域番号 |
25560303
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高見 和至 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50236353)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | いじめ / 中学生 / 部活動 |
研究概要 |
いじめの関連が示唆される中学生の自殺が後を絶たない。昨年7月には中学2年生の男子生徒が、また本年1月には1年生の女子生徒の、事件性のない自死(自殺)が報道されている。その両者とも、第三者調査報告書では、いじめがなされた場として学校内における運動部活動が指摘されている。そのようなことを背景として、本研究はで、中学生におけるいじめと運動部活動の関連について調査を実施した。 調査対象者(調査用紙配布先)は、大都市近郊に位置する市町村の公立中学校約40校に在籍する1年生から3年生の男女約7000名である。2103年12月中旬から下旬に、各教育委員会を介して各学校に調査協力を依頼した。なお現在、回収データの電算化入力作業中であるため、最終的な回答者数、対象学校数は後日判明する。 調査内容は、文部科学省国立教育政策研究所の「いじめ追跡調査2010-2012」(2013年7月)の質問方法を採用した。この調査では、「仲間はずれ・陰口」「からかい・悪口」「軽度の身体的暴力」「ひどい身体的暴力」「金品窃取・破壊」「ネットいじめ」の5つについて被害を受けた頻度と反対に加害者になった頻度を、一つの学期中に「まったくなかった~1週間に何度も」の5段階で自己選択させる手法をとっている。本研究でも同様の選択肢を用いて、第2学期中に経験した頻度に回答を求めた。さらに、我々の先行研究から、運動部活動と暴力行為との関連が示唆されたことから、上記の行動のうち、「軽度の身体的暴力」と「ひどい身体的暴力」については、した・されたの相手と、その行為がどこでなされたのかを選択肢を設定して回答させた。これによって、いじめの被害と加害について、それが部活動に関連するものなのかどうかの検討を行うことができる。また他者に対するいじめについて、「傍観」「制止」「被害者援助」にあたる行動について、2学期中に経験した頻度を調査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、平成25年年度に中学校の部活動におけるいじめの現状を、成人を対象とした回顧調査から検討し、現在の中学生の置かれている状況を推測する予定であった。研究手法としては、質問紙を用いたインターネット調査を予定していた。しかしながら、研究協力者を通して、中学生にアンケート調査を実施できることになった。現在、いじめに関する調査を生徒自身に実施することは、難しい状況にある。そこで今回、貴重な機会を得たので、当初の予定を変更し、中学生に対するアンケート調査を実施した。調査対象の中学校は、約40校で、対象者数は1年生から3年生までの約7000名という大量の回答者を確保できたことは想定していた以上の成果であった。調査内容も、我々自身の先行研究の結果に基づいてた工夫がなされており、中学生のいじめという事象に関する行動を、「した」「された」の加害と被害の面からだけではなく、「傍観」「制止」「被害者援助」からも問い、多面的に捉えることを意図したものになっている。本年度中に調査の施行、回収が終了したので、次年度(平成26年度)以降は、データの分析に従事して、調査結果を十分に検討したうえで、新たな調査計画を立案する。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度中に、アンケート調査の実施、回収を終了している。そこで、平成26年度は、まずデータの分析、研究結果のまとめ、学会等への公表準備に充てる。以後の研究計画については、研究結果を十分に検討し、それらを補完もしくは発展させる方策を決定する。
|