本研究では全31校の中学生約1万名にいじめの現状を調査し,その発生と運動部活動との関連性について検討した.しかしながら,調査依頼の過程で調査用紙の中に「いじめ」の用語を使わないことや,自己報告式アンケートの集団実施という限界はあった. 運動部員の有無による比較を行った結果からは,運動部員がいじめの被害や加害を多く経験しているという事実は認められなかった.つまり,運動部活動がいじめの発生や悪化を助長しているとは言えない.さらに,いじめを制止した経験がある者は,運動部員に多い傾向が見られた.しかし,暴力被害が生起している場や相手からは,部活動が暴力被害を受ける場の一つになっていることが分かった.
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