本研究は、日本人乳児を対象に、日本語の特殊モーラを含む音韻対立に対する弁別能力と脳反応の発達過程を調べ、既知の発達過程を拡張した包括的な音声知覚に関する発達指標の構築を目指す研究である。行動実験により、長短母音や促音/非促音の弁別能力が生後10ヶ月程度で獲得されるのに対し、撥音や二重母音を含む対立の弁別能力は10ヶ月以前に獲得されることが示された。また、脳機能測定により、刺激に対する左右聴覚野の反応が特殊モーラごとに異なり、弁別能力の獲得に概ねそって左優位性が獲得されることが示唆された。これらの結果は、新たな発達指標構築の基礎データとなり得る。
|