研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究の第一の目的は、英文読解テストにおけるタスクとエクササイズの違いを明らかにし、タスク型英文読解テストを作成するための基準を提案することにある。そして、作成されたタスク型英文読解テストの信頼性と妥当性を検証し、その波及効果を明らかにすることで、従来のテストとは全く異なるタスク型英文読解テストの開発に向けた示唆を得ることを目指している。研究計画の1年目にあたる平成25年度は、タスク型英文読解テストを作成する前提として、Task-Based Language Teachingに関する文献調査に加え、マテリアルの収集作業を行った。タスク型英文読解テストが持つ特性を解明するために、従来型の読解テスト (多肢選択式テスト・英文和訳テストなど) との比較を通して、両者のテスト細目を詳細に検討した。具体的には、まず、中学・高等学校の英語検定教科書および大学英語テキストで使用されているタスク型の英語活動例を収集した。その中で、学習者の英文読解力を測定・診断するような項目に焦点を当て、テストの設問に解答するために求められる読解プロセスを、先行研究に基づき分類した。結果から、タスク型英文読解テストが英語リーディング能力のどのような側面を測定しているのかが明らかになった。以上の手続きを踏まえ、2種類の英文読解テストの特性を比較するために、日本人英語学習者を対象とした予備的実験を行った。英文の読解後に要約タスクを課すようなテスト方法と、特定のタスクによる影響を最小限に抑えた場合のテスト方法とを比較し、それぞれによって引き出される読解プロセスの違いを検証した。実験の結果から、測定したい読解力および付随する読解プロセスのデータを収集するためには、タスク特性とタスクに従事する際に必要とされる認知プロセスとの交互作用を考慮しなければならないことが明らかになり、2年目以降の研究に向けての示唆を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
研究計画通りの進捗が見られ、口頭発表や査読論文において研究成果を発表した。
今後は2年目の研究計画および発展的課題に着手する。得られた成果については学会や論文投稿という形で発表し、外部機関による客観的な評価を確認しながら計画を進めていく。
研究成果発表のひとつが2014年度となったため。国内学会発表に関わる旅費に執行する予定。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Annual Review of English Language Education in Japan
巻: 24 ページ: 77-92
JLTA Journal
巻: 16 ページ: 185-204
JACET Journal
巻: 57 ページ: 1-19