本研究は、(1)理論言語学の司法領域での活用(法言語学自体の発展・普及への寄与)と(2)法言語学の外国語教育への応用、の二側面から成る。 (1)の成果:刑事上の名誉毀損における「摘示事実」の内容について、言語学的観点から動詞表現に着目することで、「(事実を摘示された人物・団体による)意図的行為とその結果生じる周囲への被害」という共通の傾向を抽出することができた。 (2)の法言語学資料の外国語教育への活用例として、「目撃証言の信憑性分析における動詞の役割」に着目した事例を紹介した。それにより、一般的な英語力の向上と言語学的分析力の涵養に、法言語学の資料が有用であることを示した。
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