研究課題/領域番号 |
25580148
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐賀 朝 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (40319778)
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研究分担者 |
川野 英二 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (20335334)
伊地知 紀子 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (40332829)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 比較史 / 交流史 / 現代社会調査 |
研究概要 |
2013年度は、書評を主体とした学内の研究会を2回、ソウル市立大学の張元皓教授を招いての国際共同研究会、さらには釜山大学校・韓国民族文化研究所との国際共同シンポジウムを開催することができた。 主として都市社会学分野での成果を扱った書評などを通して、ヨーロッパ、とりわけフランスにおける都市周縁研究が、歴史と現在、歴史学と社会学を横断する形で進められている現状を具体的に把握し、日本における歴史学と社会学の方法的接触を進める際の一つの範型を得ることができたように思われる。 国際共同研究会では、現代ソウルの都市計画と社会経済構造に関する概要を把握するとともに、現代都市の社会=空間構造に迫るための分野横断的なアプローチの可能性をめぐって有益な議論がなされた。またソウル市立大学との研究交流を今後進める上でも重要なステップとなったと言えるだろう。 釜山大学校との国際共同シンポジウムでは、主として歴史、それも前近代史を対象として、都市の政治・経済・社会と軍事との関係を主題にした議論がなされ、都市周縁や都市住民生活に関わる論点も議論された。前近代の釜山については、まだまだ研究を深化させる可能性のあることが確認できた。同時開催の都市・釜山のフィールドワークでは、戦後形成された周縁エリア=「坂の街」の実地踏査を行い、現代のまちづくりと連動して進められている韓国民族文化研究所のプロジェクトの現状や、アメリカ軍用地を市民公園化した地区の現状を調査し、釜山の戦後における都市と住民生活の変化とそれに関わる資料の情報についても成果が得られた。 また2014年度のフランスでの国際共同シンポジウムの開催に向けて、大阪市大で開催された関連する研究会の場で、フランス国立高等社会科学研究院の複数の研究者と交流の機会を持つことができたことも付記しておく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度の研究実施計画に挙げた活動のうち、都市周縁研究会の開催は、回数こそ予定した3~4回には至らなかったが、一定の方法的交流の成果は上がった。 国際共同研究会や国際共同シンポジウムは、基本的に計画どおり実施することができ、今後の研究交流の開始や継続に関する成果も小さくなかったと言える。 都市周縁の現代社会調査については、メンバー各自の個別の活動は展開できたが、共同化の面で課題を残した。研究実施計画で予定していた松山市の調査は日程調整の不調により実施できなかったため、2014年度の課題となる。 全体として、研究実施計画に対して、物理的な意味での達成は70~80%であったが、研究内容面では、実施できた活動で、それ以上の成果を得ることができた。今後の課題達成や研究交流進展にもつながる成果があったため、「おおむね順調」と評価できるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は、昨年度の都市周縁研究会での方法的交流をふまえ、フランスでの国際共同シンポジウムの開催を最大の課題としたい。具体的には、フランス国立高等社会科学研究院の歴史部門、社会学部門の双方の研究者と、都市周縁の歴史と現在をめぐって、比較史と方法的接触・相互乗り入れを目ざすシンポジウムを開催する。それにあわせてパリなど、フランス現代都市における社会調査の場にも同行し、資料分析ワークショップの形態で方法的交流と議論を試みる。 また釜山大学校との国際共同シンポジウムも大阪で開催し、今回は大阪を舞台に都市と都市周縁の「歴史と現在」をめぐる調査研究のあり方を、釜山側の研究者に提示し、調査方法論にまで踏み込んだ交流をはかりたい。 以上のベースとして、引き続き都市周縁研究会の開催を継続し、それに関連して個別の社会調査も進め、条件が合えば、松山市の共同調査も実施すべく検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初からの研究計画として2014年度にフランスで国際共同シンポジウムを開催する予定があり、実際に交付された金額との関係で、13年度の予算を一部、14年度に繰り越す必要が生じていたため。 2014年度後半に開催を予定しているフランスで国際共同シンポジウムとそれに向けた準備作業、研究会などに使用する。
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