「脱家族化」はケアだけで研究されてきた。本研究は教育の公費負担等、家族間の経済的依存を断つ政策を広く「脱家族化」ととらえ、スウェーデンの福祉・教育予算の編成方法を検討した。スウェーデンは不況の1990年代に予算改革をし、高齢者向け予算を削り、教育予算を増やした。改革できたのは、改革委員会に政治家も入り、政治家が改革の必要性を実感したからだった。 また、保育・教育等の「人生前半の社会保障」を充実するため、年金予算を一部減額し、高齢者の就労を促した。諸政策を人生全体の視点から考え直すには、「脱家族化」概念を拡張し、ケアに加え教育や年金も視野に入れ、福祉・教育・年金予算を総合的に分析すべきである。
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