2年目の最終年度は①~④の研究を行った。 ①スミスとシャープによる研究(2013)「アスペルガー症候群の人の異感覚体験からもたらされる行動のプロセスモデル」について日本社会医学会で報告を行った。異感覚体験をもつ人がその体験を魅惑的な体験として他者との肯定的な関係を築いていく一方で、その体験がその人を社会から孤立させていく状況に繋がっていくことがあきらかになった。 ②このプロセスのカテゴリーと焦点化されたコードを用いて、ミラー(2014)の感覚処理障がいの幼稚園児の事例を分析した。アメリカ精神医学会の新診断基準DSM-5において、自閉症スペクトラム障がいの診断基準に「感覚処理」の項目が加わった。児童発達支援や放課後等デイサービスを行っている保育者にとっては、発達障がいの児童に特有な感覚についての十分な理解と適切な支援方法が求められる。 ③児童発達支援・放課後等児童デイサービスを行っている広島県内の事業所160ヶ所に発達障がい児の支援に関するアンケート調査票を郵送し、宛先不明などで返送された4通を除き、62通の回答を得た。 ④発達障がい児支援を行っている事業所の保育者(保育士、児童指導員)へ「発達障がいの子どもの感覚と五感力」についての研修を行った。その後同意の得られた保育者に半構造化のインタビュー調査を行い、修正版GTAで分析した結果、保育者が自分の感覚体験と重ね合わせながら発達障がい児への支援を行っていくプロセスがあきらかになった。③、④の詳細については今後の学会や論文で発表する予定である
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