レジリエンスとは,ストレスからの回復性に関する概念である。本研究は,レジリエンスが対処の柔軟性や自律神経系反応に及ぼす影響を検討した。主な知見は,以下の通りである。(1)資質的レジリエンスが低くても獲得的レジリエンスが高いと,主観的ストレスの回復に有効である。(2)計算課題やスピーチ課題後の自律神経系活動の回復に,レジリエンスの効果は認められない。(3)認知的評価による対処は気そらしよりも,スピーチ後の自律神経系活動の回復を促進する。自律神経活動における回復にレジリエンスの効果が認められなかったのは,ストレス負荷の低さや急性ストレスを対象としたことによる影響だと考えられる。
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