研究課題
大きな地震に先行して電離圏や大気圏が擾乱するという報告がある。電離層総電子数(TEC)異常や温度異常がそれである。TEC異常に関しては統計的(疫学的)には有意な相関があることが立証されているが、科学的な因果関係を証明するには至っていない。その1つの仮説として大地震前に地中から放射性ラドンガスの放出の異常があげられている。本研究の目的は,大気電気説の1つであるラドンガス放出説を検証するために房総半島に大気電気パラメータ観測装置を設置し、基礎データ(日変化,季節変化等)を蓄積し、地圏―大気圏―電離圏結合を観測学的に検討することである。平成25年度は(1)アルファガードまたはPyron製装置による大気ラドン観測装置を含む大気電気パラメータ観測点を房総半島の清澄と旭、銚子に整備し、観測データの蓄積をはかるとともに、(2)安価で安定なラドン観測装置の開発を実施した。この装置は大気ラドン濃度観測と地中から大気中に散逸してくるラドン濃度は測定できる。平成26年度は(3)前年度に開発したラドン観測装置をアルファガード観測装置のある旭観測点に設置し、長期比較観測を実施した。その結果、データは降雨等に影響されることなく安定にとれること、大気濃度変化はアルファガードと同様の変動を記録すること、散逸濃度変化は大気濃度と比較して約1000倍程度大きな値をとることがわかった。従来の機器の1/2以下のコストで観測機器ができることがわかった。また、(4)大気電気パラメータのデータ解析において降雨等の気象要素との関連調査に着手した。(5)電離圏変動については磁気嵐起源の変動の特徴を統計的に把握し、それらと地震に先行して発生する変動を弁別する手法を開発した。本研究を通じて地圏―大気圏―電離圏結合を観測学的な検討をより精度よく行う基盤が整備できたといえる。
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