研究概要 |
ABC環部の合成については、申請書の「研究計画・方法」欄中の化合物8(C環部のスケールアップ合成を行い、そのカップリングパートナーとなるニトロオレフィン体の合成にも成功した。このニトロオレフィン体は比較的不安定であり、二重結合の異性化を起こしやすいことがわかった。すなわち、カップリングパートナーとなるニトロオレフィン体はalpha,beta-共役型ニトロオレフィンであるが、これは塩基存在下で容易にbeta, gamma-共役型ニトロオレフィンとなることが判明した。 CDEF環部の合成については、申請書の「研究計画・方法」欄中の化合物8(CE環部)のスケールアップ合成を行うとともに、この化合物からF環前駆体であるケトアルデヒド体を合成し、分子内アルドール反応によるF環構築を試みた。種々検討した結果、CEF環部は痕跡量生成したことが確認された。しかしながら、全合成研究を進めるだけの収率は得られず、方針を変えることとなった。これまでは、E環の右側から伸ばしたポリオール鎖をE環の左側で環化させようとしていたが、最近の検討により、E環の右側に炭素鎖を導入したのち、E環の左側にも炭素差が導入可能であることがわかった。したがって、E環の左右両側に炭素鎖を導入して、中央部でつなげることにより、EF環部を合成できる可能性が出てきた。また、C環部については当初、beta-エトキシ-alpha,beta-不飽和ケトンとしていたため、gamma位のプロトンが引き抜かれやすいことが問題となっていたが、エトキシ基をピロリジンに変えることで、この引き抜きが抑えられることが分かった。
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