本課題では,ナノ結晶Ni電着薄膜の強度に及ぼす結晶粒径の影響を明らかにすることを目的とした.EBSD観察により結晶粒界が大傾角粒界であることがわかった.一方,EBSDによる結晶粒径測定の際は,観察のステップサイズを結晶粒径の十分の一以下にする必要があることが明らかになった. 0.2%耐力,引張強さ,疲労限度と結晶粒径の関係は,結晶粒径が小さくなるほど通常の結晶粒材に対する関係との乖離が大きくなった.この原因として,結晶粒界を面としてではなく領域として考える必要のあることがわかった.すなわち,転位の平均自由行程として,結晶粒径から粒界領域の大きさを引いたものを考える必要があった.
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