表面積が大きく,赤外光を透過させないSiC膜の自然酸化膜付Si(100)基板上での形成メカニズムを調べ,以下の結果を得た. 【XRD】異常成長SiC膜の成長初期段階では(100)結晶核が形成するが,その後(111)と(110)が優位になり,最終的に多結晶SiC膜となる. 【SEM】温度振動が始まる直前にSEMで観察可能なサイズの結晶核がすでに生成され,堆積時間が増加するにつれて結晶核が大きくなり,表面ラフネスが増大している. 【FTIR】堆積時間の増加と共に低波数側の透過率が減少し,その後全体の透過率が減少し,透過率の減少は表面ラフネスに大きく依存していることが分かった. さらに,表面ラフネスの大きいSiC膜の紫外-可視光(250-850nm)領域における透過率と反射率測定を行うために,石英基板上にSiC膜堆積(1000℃,5時間)を行った.一般にSiCは屈折率が高いため反射率は20~40%となるが,本申請課題で開発したSiC膜の紫外-可視光領域での反射率は約6.9%(透過率は最大で2.2%)であった.今後はSiC膜の表面形状の最適化を行うことでさらなる反射率の低減を目指し,SiCのダークマテリアル化と光学素子への展開を図る.
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