私はこれまでに、ショウジョウバエをモデル生物として用い、摂食制限、およびそれに伴う転写因子CRTCの活性化が記憶形成を促進することを見出していた。これを発展させ、本研究では、CRTC依存的な摂食制限状態が記憶障害を改善できる可能性の提示、さらに、CRTC経路の活性化を介して記憶障害を改善させるような薬理標的の提案を目標とした。まず、cAMP経路の変化による記憶障害に、摂食制限、CRTC活性化の薬理処置が有用であることを見出した。また、複数の薬理標的の同定を試みたが、現在までにCRTC以外の薬理標的の同定に至っていない。
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