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2014 年度 実施状況報告書

染色体特異的にクラスターを形成しているトラップジーン(CSCT)の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25640052
研究機関熊本大学

研究代表者

荒木 正健  熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (80271609)

研究分担者 荒木 喜美  熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90211705)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードクラスター遺伝子 / 染色体特異的 / マウス / 遺伝子トラップ / ゲノム編集 / EGTC / CSCT
研究実績の概要

我々は、「可変型遺伝子トラップ法」を開発し、データベース「EGTC」(Database for the Exchangeable Gene Trap Clones)を全世界に公開している。トラップした遺伝子のアノテーションを行う過程において、染色体特異的にクラスターを形成している遺伝子(Chromosome Specific Clustered Trap region: CSCT)を発見した。本研究の目的は、トラップクローンの解析により明らかになった特殊な構造を示す領域を欠損させたマウスラインを樹立し、その個体レベルの表現型を解析し、生理機能を明らかにすることである。
EGTCに登録しているトラップクローンの中に、染色体特異的なクラスター遺伝子をトラップしているものは少なくとも27クローン(領域としては4種類)存在する。本研究においては、クラスター中に含まれるRefSeqの数が最も少ない、Ayu21-B145 (CSCT13)に焦点を絞り、解析を進めている。CSCT13は、マウス13番染色体上の約1.6 Mbpの領域に全て納まっているので、ゲノム編集技術を用いて1.6 Mbpを欠損させたES細胞株を作製した。このES細胞株を用いてキメラマウスを作製し、マウスラインを樹立した。
このCSCT13を欠損したマウスラインにおいてヘテロ接合体同士の交配を行ったところ、まだプレリミナリーな結果であるが、ほぼメンデル則に従ってホモ接合体を得ることができた。現在、詳細な表現型解析をスタートしたところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゲノム編集技術の中のCRISPR/Cas9 Systemを用いて、CSCT13領域全体(約1.6 Mbp)を欠損したES細胞株の作製に成功した。得られたES細胞株を用いてキメラマウスを作製し、マウスラインを樹立した。
EGTCではプロモータートラップを行っており、トラップされた遺伝子は少なくともES細胞で発現していることが分かる。従って、発生初期に働く遺伝子がトラップされることも多い。当初、CSCT13ノックアウトマウス(ホモ接合体)は正常に生まれてこない可能性が高いと予想し、発生のどの段階で異常が起きるのかを調べ、その原因を追求することで生理機能の解析を行う予定であった。また、レスキュー実験も想定していた。しかしながら、驚くべきことに、ヘテロ接合体同士の交配を行ったところ、メンデル則にほぼ従う形でホモ接合体の産仔を得ることができた。現在、得られたホモ接合体マウスに異常が無いか、解析を始めたところである。

今後の研究の推進方策

クラスターを形成している個々の遺伝子ではなく、染色体特異的にクラスターを形成している遺伝子が存在する領域を重視して、CSCTの名称及び定義を再検討した。名称には領域が存在する染色体の番号を入れることにした。当初クラスターを形成している遺伝子を10個(旧CSCT1~CSCT10)リストアップしていたのだが、2番染色体上に存在する旧CSCT1と旧CSCT2は領域が重なっていたのでひとつにまとめてCSCT2とした。また、4番染色体上に存在する旧CSCT3、旧CSCT4、旧CSCT5及び旧CSCT6は、配列は違うのだが領域としては重なっているのでCSCT4としてひとつにまとめた。12番染色体上の旧CSCT7はCSCT12と呼ぶことにした。旧CSCT8については、改めてBLAT Searchをやり直した結果、クラスターと呼ぶにはコピー数が少なかったのでリストから外すことにした。旧CSCT9は13番染色体上に存在するのでCSCT13と呼ぶことにした。旧CSCT10については、主に14番染色体上に存在するのだが、似た配列が他の染色体(9, 13, 16, 17, 18, 19, X)にも点在していたので、リストから外すことにした。結果的に、染色体特異的にクラスターを形成しているトラップジーン(CSCT)は、CSCT2, CSCT4, CSCT12 & CSCT13の4種類になった。
これまで集中的に解析を進めてきたCSCT13とは別のクラスターを形成する領域として、2番染色体上に存在するCSCT2(約3.0 Mbp)領域の欠損も行うことにした。CSCT2にはRefSeq遺伝子が89個含まれているが、これも繰り返しのためにマルチコピージーンが多く、遺伝子の種類としてはもっと少ない。もしCSCT2領域全体を欠損させることでシビアな表現型が観察された場合は、レスキュー実験も検討する。
CSCT13ノックアウトマウスに関しては、熊本マウスクリニック(KMC)の各種機器を用いた表現型解析を行う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Conformational change in transfer RNA is an early indicator of acute cellular damage.2014

    • 著者名/発表者名
      Mishima, E., Inoue, C., Saigusa, D., Inoue, R., Ito, K., Suzuki, Y., Jinno, D., Tsukui, Y., Alamatsu, Y., Araki, M., Araki, K., et al.
    • 雑誌名

      J. Am. Soc. Nephrology

      巻: Oct 25 (19) ページ: 2316-2326

    • DOI

      10.1681/ASN.2013091001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NRBF2 regulates autophagy and prevents liver injury by modulating Atg14L-linked phosphatidylinositol-3 kinase III activity.2014

    • 著者名/発表者名
      Lu, J., He, L., Behrends, C., Araki, M., Araki, K., Jun Wang, Q., Catanzaro, J. M., Friedman, S. L., Zong, W. X., Fiel, M. I., Li, M., Yue, Z.
    • 雑誌名

      Nat. Commun

      巻: 5 ページ: 3920

    • DOI

      10.1038/ncomms4920

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Disruption of Mbd5 in mice causes neuronal functional deficits and neurobehavioral abnormalities consistent with 2q23.1 microdeletion syndrome.2014

    • 著者名/発表者名
      Camarena, V., Cao, L., Abad, C., Abrams, A., Toledo, Y., Araki, K., Araki, M., Walz, K., Young, J. I.,
    • 雑誌名

      EMBO Molecular Medicene,

      巻: 6 ページ: 1003-1015

    • DOI

      10.15252/emmm.201404044

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Autophagy regelation in pancreatic acinar cells is independent of epidermal growth factor receptor signaling.2014

    • 著者名/発表者名
      Ozaki, N., Fukuchi, Y., Tomiyoshi, SR., Uehara, H., Ida, S., Wang, J., Araki, K., Shibilia, M., Baba, H., Yamamura, K., Ohmuraya, M.
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 446 ページ: 224-230

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.02.111

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] CRISPR/Cas9による2本鎖切断・1本鎖節切断を利用した場合のマウスES細胞における相同組換え効率の比較2014

    • 著者名/発表者名
      荒木喜美、牟田真由美、仙波圭、竹田直樹、仁木大輔、松本健、武田伊世、山村研一、大村谷昌樹、荒木正健
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] 可変型遺伝子トラップマウスラインのパスウェイ解析及びジーンオントロジー解析2014

    • 著者名/発表者名
      荒木正健、中原舞、中潟直己、山村研一、吉信公美子、荒木喜美
    • 学会等名
      日本遺伝学会第86回大会
    • 発表場所
      長浜バイオ大学(滋賀県長浜市)
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-19
  • [学会発表] 遺伝子トラップマウスを用いたlincRNAの生体内機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      宮家幹子、森田彩香、柳井千佳、山添史雅、中原舞、荒木美幸、岡本頼幸、伊東春香、大西雄一朗、国場訓、山村研一、吉信公美子、荒木正健、荒木喜美
    • 学会等名
      第28回モロシヌス研究会
    • 発表場所
      修善寺総合会館(静岡県伊豆市)
    • 年月日
      2014-06-27 – 2014-06-28
  • [学会発表] Establishment and analysis of Cre-driver mouse line2014

    • 著者名/発表者名
      森田彩香、宮家幹子、荒木美幸、岡本頼幸、国場訓、大西雄一朗、山村研一、來海葉子、吉信公美子、荒木正健、荒木喜美
    • 学会等名
      第28回モロシヌス研究会
    • 発表場所
      修善寺総合会館(静岡県伊豆市)
    • 年月日
      2014-06-27 – 2014-06-28
  • [学会発表] 可変型遺伝子トラップクローンデータベース[EGTC]の開発と解析2014

    • 著者名/発表者名
      荒木正健、中原舞、柳井千佳、山添史雅、宮家幹子、森田彩香、荒木美幸、岡本頼幸、中潟直己、吉信公美子、山村研一、荒木喜美
    • 学会等名
      第61回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(札幌)
    • 年月日
      2014-05-15 – 2014-05-17
  • [備考] EGTC

    • URL

      http://egtc.jp

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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