研究課題
我々は可変型遺伝子トラップ法を開発し、データベース『EGTC』を全世界に公開している。そのトラップした遺伝子のアノテーションを行う過程において、染色体特異的にクラスターを形成しているトラップ領域(Chromosome Specific Clustered Trap region ; CSCT)を発見した。EGTCに登録しているCSCTをトラップしているクローンは39クローンあり、染色体順にCSCT2・CSCT4・CSCT12・CSCT13が存在する。これらのトラップクローンはクラスターの中の1個を破壊しているだけで、その遺伝子の機能をつぶしているとは考えられない。そこで本研究では、クラスター領域全体を除去することで、CSCTの生体内における機能解析を行うことにした。しかし、クラスター全体を除去するということは、その領域内に存在する他の遺伝子の影響も考慮する必要がある。そのため、領域内に存在する遺伝子が最も少ないCSCT13に焦点を絞った。平成26年度までにゲノム編集技術を用いてCSCT13領域全体(1.6 Mbp)を欠損したクローン(ΔCSCT13)を得ることができ、このES細胞からマウスラインを樹立することができた。平成27年度は、このマウスラインの表現型解析を行った。ホモ接合体マウスにおいて一見して分かる明らかな異常は見られなかった。しかし、ホモ接合体同士の交配で得られる産仔は極端に少なかった。また、減数分裂時の染色体相同組換えへの影響評価を行ったところ、1Mbpあたりの組換え率は、CSCT13を欠損すると、CSCT13を含む領域では減少した。興味深いことに、周辺の領域の組換え効率は逆に2倍以上の上昇を示した。本研究より、CSCT13は初期発生及び減数分裂時の染色体組換えに関与している可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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