マウス肝炎ウイルス(MHV)はマウスの細胞によく感染し、細胞傷害を引き起こす。このウイルスはマウスCEACAM1aをレセプターとして感染するが、蛋白分子の中でウイルスレセプターの機能をもつ部位は74アミノ酸と比較的小さい。本研究では、細胞とウイルスの間に入り、ヒト細胞へのMHV感染を可能にする「細胞標識アダプター」の作成を試みた。実際に作成したのは、IgGにCEACAM1aを固定したものである。このアダプターを培養細胞に添加し、もともとレセプターの無い細胞にMHVの感染を試み、MHVを腫瘍溶解性ウイルスとして利用するための可能性を探った。現在までに効率の良いアダプターの作成には至っていない。
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