2011年の東日本大震災に伴って発生した大型津波で大量の漂着物が北米海岸に到達した。日本産の海浜性昆虫が、この漂着物に付着して北米に分布を広げた可能性を検証するため、北米大陸西海岸から北太平洋アリューシャン列島ウナラスカ島にかけて43地点で海浜性昆虫の調査を行った。 調査の結果、北米原産種の海浜性昆虫である、ケシガムシ6種、ゾウムシ1種、エンマムシ1種、イワハムシ1種、コガネムシ1種を採集した。しかし日本産種と共通する種は発見されず、津波に伴う随伴移動の証拠は確認できなかった。海藻等においては今回の津波に伴う漂着が報告されているものの、海浜性昆虫においては、大陸間の移動の証拠は得られなかった。
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