研究課題
複雑な土壌環境中でのPseudomonas putida F1株の環境応答として、土壌環境下でのみ特異的に発現する遺伝子の解析を目指している。今年度は、土壌細菌P. putida F1株を接種、培養した生土壌から直接法および間接法による環境タンパク質を抽出し、同定タンパク質の数や種類など比較解析を行った。直接法はSDS―フェノール法を用い、間接法は密度勾配遠心分離法により細菌細胞を分画し、タンパク質を抽出した。両方法の比較の結果、タンパク質同定数は直接法が1468、間接法が1481でわずかではあるが間接法が多く検出された。同定タンパク質のCOGカテゴリーによる機能分類群の割合はほぼ同じであり、どのタンパク質も偏りなく同定された。直接法は、間接法より操作や処理は簡便である。また、多様な細菌種からのタンパク質が検出されたことから群集の多様性解析には良いアプローチであることを示した。一方、直接法は細菌種以外の生物種のタンパク質や土壌夾雑物を含むため、土壌細菌種の発現解析やシステマチックな質量分析計解析群集発現解析には不向きな点も明らかにした。これら結果より、両手法において長所短所があり、土壌や解析目的により、使い分ける必要がある。昨年度同定した土壌特異的発現遺伝子の発現因子解析を行った。5遺伝子からなる1つのオペロンについて、土壌と液体培地の組成比較から、腐植酸や金属イオン(鉄、マンガン、カルシウムなど)などをもとに発現因子の特定を行った。この結果、土壌の主成分の欠乏が発現を誘導していると推測できた。
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Molecular Microbiology
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doi: 10.1111/mmi.12457
Applied and Environmental Microbiology
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