研究課題/領域番号 |
25660196
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安永 円理子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00380543)
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研究分担者 |
尾崎 伸吾 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20408727)
高田 大輔 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80456178)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 品質保持技術 / フードチェーン / シミュレーション工学 / 農業工学 |
研究概要 |
本研究は,『果実物性の流通環境依存性を考慮した緩衝包装設計の最適化指針』の提案を目指して,フィールド調査・室内実験・数値解析からなる系統的な研究を展開している.まず,流通過程において,雰囲気(温度・湿度)環境とともに時々刻々と変化する果実の農産物性の測定手法と,これを反映した材料および形状モデリング技術の構築に挑戦している. 今年度は,フェーズI:「フィールド調査」と「室内実験」を主に実施した.具体的には,① フィールド調査では,収穫から消費者に届くまでのフードチェーンにおける温度・湿度環境の経時変化や振動負荷などの力学的外乱を把握した.対象とする果実には,モモとマンゴー果実を使用し,「福島⇒東京」および「岡山⇒東京」の国内流通と「タイ⇒日本」の遠距離流通を対象とした.② フィールド調査にて得られた温湿度環境の時系列変化をプログラム制御付きインキュベータにより室内にて再現した.③ フードチェーンの各段階に対応した時刻にモモ果実をインキュベータから取り出し,万能試験機による力学試験を実施し,各力学的指標を測定した. ・フェーズII:「メカニカルシミュレーションモデルの構築」:④ 先行的な取組みとして,3D スキャナを用いて果実の外形状を測定するとともに,現有している汎用プリ・ポストソフト(Femap)を用いて青果物の有限要素モデリングを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,フィールド調査と室内実験により構成されているが,いずれも当初の計画通りに進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
・フェーズI:「フィールド調査」と「室内実験」:⑤ 前年度の研究を継続する.関連する既往の研究報告との比較を通して提案手法の優位性を示し,測定手法としての確立を目指す.果実の物性は収穫前処理や個体差によってばらつくと考えられるため,測定個数を増やして統計的処理やマスターカーブ法を適用する. ・フェーズII:「メカニカルシミュレーションモデルの構築」:⑥ 前年度の研究を継続する.粘弾性理論および損傷理論に基づき,果実物性の流通環境依存性を反映し得る材 料モデルを構築する.⑦ フェーズIの結果との比較を通して妥当性を検証し,不備な点については是正・規定を重ねる.⑧ 果実の固有形状を反映した有限要素解析モデルに材料モデルを実装し,速やかにフェーズIIIへ移行する.これらの内容には,計算材料力学を専門とする研究分担者のこれまでの知見やノウハウを利用できる. ・フェーズIII:「数値解析」と「指針提案」:⑨ フェーズIIで得られたモデルを用いて,周波数応答解析および衝撃解析を実施し,果実物性の流通環境依存性や固有形状の影響について検討を行う.⑩ フィールド調査で得られた力学的外乱データやJIS Z0232 に基づいた時刻歴応答解析も併せて実施し,本手法の優位性を示す.⑪ 過去に例の無い発想に基づいた果実の緩衝包装設計技術の高度化,並びに流通過程における力学的環境および雰囲気環境の最適化に取り組むための基盤的指針としてまとめる.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入を予定していた価格よりも安価な低温恒湿機を購入したため. 次年度の実験材料果実の購入資金として活用する.
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