研究実績の概要 |
前年度にXIAP欠損症患者骨髄細胞を用いて作成したヒト化マウス4頭のうちEBウイルス(EBV)を感染させた2頭(AおよびB)について、その免疫応答を解析した。マウスAでは、感染の10週間後に末梢血EBV DNA量が1×10E+4 copies/μg DNAまで上昇し、その後11-14週では検出感度以下まで低下したが、15週で再び2×10E+3 copies/μg DNAまで上昇し、16週で安楽死させた。末梢血CD8+ T細胞の割合は感染8週間後から上昇を始め、10週間で約75%のピークに達し、その後は16週まで大きな変化がなかった。感染16週間後において、CD8+ T細胞の98%がHLA-DR+の活性化細胞であった。またCD4+ T細胞の77%がHLA-DR+であった。マウスBでは、感染6週間後に末梢血EBV DNA量8×10E+3 copies/μg DNAまで上昇し、7-15週では検出感度以下に低下したが、16週で再び3×10E+3 copies/μg DNAまで上昇した。16週で安楽死させた。末梢血CD8+ T細胞の割合は感染5週間後に上昇を始め、6週間後に約75%、10週間後には82%に達し、その後16週までわずかに減少した。感染16週間後において、CD8+ T細胞の99%がHLA-DR+の活性化細胞であった。またCD4+ T細胞の99%がHLA-DR+であった。またマウスBの感染後9週間の末梢血において、IFN-gamma, GM-CSF, IP-10などのサイトカインが検出された。以上の結果より、XIAP欠損症由来のヒト化マウスにおいても、健常者由来ヒト化マウスと同様にEBV感染後にCD8+細胞を主体とするT細胞応答が誘導され、活性化CD8+ T細胞が急激に増加することが示された。今後サイトカイン産生など免疫応答の詳細についてさらに解析し、健常者由来ヒト化マウスと比較する計画である。
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