研究課題/領域番号 |
25670235
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小安 重夫 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, センター長代行 (90153684)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自然免疫 / マクロファージ / リンパ球 / 脂肪細胞 / 好酸球 |
研究概要 |
(1)NH細胞やFALCと脂肪組織の相互作用:FALCの構造を検討し、 FALCの構造中を血管が走行していること、 抗LIVE-1抗体で染色されるリンパ管様の構造が FALCを取り巻いていると思われる構造や、 FALC中の一部の細胞を取り巻く形で存在する構造などを見いだした。抗LIVE-1抗体で染色される構造がリンパ管と同一であるかは現時点では不明である。 ケモカインに関して検討し、FALC内の NH細胞がCCR2を発現し、 FALC内にはCCR2陽性のマクロファージが存在することから、CCR2ノックアウトマウスを検討したが、予想に反し、 CCR2が欠損しても FALCや腸間膜のNHの分化に異常は見られなかった。これまでの解析から、NH細胞にはCCR7やCXCR5などのリンパ節への意向に必要なケモカイン受容体の発現は見られていない。一方、CXCR4は腸管や腸間膜の構造の形成に必要であり、かつリンパ球の分化にも必要であることが示されていることから、CXCR4欠損マウスの解析を開始した。 (2)NH細胞とマクロファージや好酸球の関わり:NH細胞を欠損するγc-/-Rag2-/-マウスの脂肪組織には好酸球はほとんど見られないが、 NH細胞を移植する事によって好酸球の数が野生型と同程度にまで回復した。この事実から、脂肪組織への好酸球の移動には NH細胞が重要な役割を果たすことが示された。脂肪細胞、マクロファージとNH細胞の相互作用を検討する目的で、 NIH3T3-L1細胞、腹腔内マクロファージ、 NH細胞の共培養系を確立した。この際、サイトカインの作用と細胞間相互作用の区別をするために、トランスウエルシステムを用いることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FALCの構造に関して新たな治験を得ることができた。予想に反していたとはいえ、 CCR2が FALCの形成や脂肪組織のNH細胞の分化に不要であることが明らかになった。 CXCR4の必要性に関しても明らかになると期待される。 脂肪組織への好酸球の移動にNH細胞が重要であることを示すことができた。脂肪細胞、マクロファージ、NH細胞の相互作用を検討するための共培養系を樹立した。 以上の成果から、研究はおおむね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
FALCの形成に関わる細胞の検討が遅れているので、次年度はこの点を集中的に検討する予定である。これまでに樹立した共培養系を用いて機能的な相互作用を検討する。この系では特にアディポカインの機能に着目したい。 IL-25ノックアウトマウス、 IL-33ノックアウトマウス、 IL-25とIL-33の2重欠損マウスを用い、高脂肪食負荷時の肥満の誘導にこれらのサイトカインが関与するかどうかを検討する。もしも関与するのであればそれがNH細胞を介するか否かを更に検討する予定である。
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