研究課題
挑戦的萌芽研究
初年度の計画は、p14ARF機能性ペプチドの削り込みによるコア配列の明確な同定と、機能増強のための構造改変技術の検討。(p14ARF機能性ペプチドの最適デザイン化であった。現在同定している強力な腫瘍抑制効果を発揮する27アミノ酸残基長のp14ARF第38~第65番アミノ酸配列をコードするペプチドを基に、N末端側およびC末端側から数アミノ酸残基ずつ削り込みを行い、現有の抗腫瘍効果を損なうことなく短縮型の機能性ペプチドを開発できた。すなわち、APAAVALVLMLLRSQRLGQQPLPRRPG (p14部分:全27アミノ酸残基)から、LVLMLLRSQRLG(p14ARF45-56:12アミノ酸残基)が機能に必要最小限の配列であることを同定し、従来より短縮型のp14機能性ペプチドを試作した。また、p14ARF45-56ペプチドのがん細胞内での増殖抑制効果を高めるための改良として、細胞透過配列とp14配列を連結するスペーサー配列GPGの部分を、がん細胞内で活性化しているカテプシンBに注目してGFLGの4アミノ酸からなるカテプシン開裂配列に置換したペプチドは従来型に比較して約2倍の増殖抑制効果を発揮することが判明した。従って、現在p14機能性ペプチドとして再デザイン化したr9-GFLG-p14ARF45-56:rrrrrrrrr-GFLG-LVLMLLRSQRLGを得て、各種がん細胞における増殖抑制効果とペプチド感受性の試験を実施している。
2: おおむね順調に進展している
初年度に達成目標としていたp14ARF機能性ペプチドの削り込みによるコア配列の明確な同定、機能増強のための構造改変技術についていずれも成功した。これにより、生体内における抗原性の低減と反復投与性、分解耐性などの点で、実用性をより高めるために非常に重要なプロセスとして考えていたステップをある程度解決し、かつ現有の抗腫瘍効果をさらに増強した短縮型の機能性ペプチドとして目的物のプロトタイプの開発に成功したことを評価の理由とした。
(細胞レベルアッセイからin vivo生体腫瘍モデルアッセイの実施による検証。)・第一年度に最適デザイン化したp14ARF機能性ペプチドの適用に最も適した腫瘍群の探索。また、ペプチド作用の感受性を規定するがん細胞マーカーや因子の分子生物学的手法を用いた探索・同定。この結果に基づいた特定のヒト腫瘍細胞移植型担癌モデルマウスによるin vivo ペプチド投与による抗腫瘍効果の実際の解析。さらに発展的に、標的とする難治性悪性腫瘍細胞・組織に選択的かつ高効率に吸収させるため、私たちが既得技術として確立している腫瘍ホーミングペプチド(正常細胞系への吸収を抑え、腫瘍にシフトした高度吸収性を発揮するペプチドドメイン)と融合した制がんペプチドを作成し、細胞レベルとこれらを移植した担がんモデルマウスレベルでの体内増殖・浸潤転移腫瘍組織の駆逐性能を解析し、制がんペプチドとしての実効性の検証を時間があれば検討していきたい。
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http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/ri/01bumon/02shuyo_byori/index.html#topic3