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2013 年度 実施状況報告書

インフルエンザ感染重症化バイオマーカーFlu Alarminの検索と実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 25670466
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関徳島大学

研究代表者

木戸 博  徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 特任教授 (50144978)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードインフルエンザ / 多臓器不全 / 重症化 / バイオマーカー / エネルギー代謝 / 血管透過性亢進 / サイトカイン / Flu Alarmin
研究概要

インフルエンザの重症化は、血管透過性亢進による末梢循環不全・多臓器不全を伴う。そのため重症化に先立って生体が発信する危険信号を「Flu Alarmin」として、患者検体とモデル動物でAlarminの検索と重症化との因果関係を検証した。Flu Alarminとして、①感染気道上皮細胞が放出する物質群、②血管内皮細胞とその周囲組織が放出する物質群、③臓器の代謝不全シグナル物質群を検索した。平成25年度のインフルエンザシーズンでは重症化する患者が稀で検体収集が十分でなかったことから、解析は主に重症化し易い離乳直後の4週齢B6マウスを用いたモデル動物実験で実施された。インフルエンザウイルス株の中でもマウスが重症化しやすいPR/8/34(H1N1)株を用いて実施された。インフルエンザ感染後、ウイルスは3-4日をピークに増加して7-9日で肺から消失するが、血管内皮の透過性亢進と多臓器不全は感染後7日目以後に明確となった。この代謝不全を伴う重症化に先立つ早期の体内代謝の変化では、感染3日から肺、その他の臓器で急速に増加するPyruvate Dehudrogenase Kinase 4 (PDK4)が見出され、この増加に伴ってPyruvate Dehudrogenase が低下して、エネルギー代謝不全が発生していることが判明した。生体が発信する危険信号「Flu Alarmin」としてPDK4が抹消血でも増加するかを、今後調査する。これらの体内代謝不全に先立って感染初期に観察されるFlu Alarminの候補に、肺、気道分泌液中のサイトカイン、TNF-alpha、IL-6、IL-1beta、IFN-alpha、IFN-beta、IFN-gamma、の急速な増加が認められ、Flu Alarminと同定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度のインフルエンザシーズンは流行が軽度で重症化した患者検体の収集が困難であったが、感染モデルマウスを用いた実験は順調に進展して、「Flu Alarmin」の候補としてのバイオマーカーの同定が行われて、一定の成果がでた。今後これらの、「Flu Alarmin」バイオマーカーと発症機序との因果関係の解析が可能になったことは、今後に繋がる成果として評価できる。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、血管透過性亢進による末梢循環不全・多臓器不全の発症に関して以下の3課題に絞って進める。
1)感染モデル動物を用いた、さらなる「Flu Alarmin」の候補の検索。
2)インフルエンザの感染者の血液検体、気道分泌液検体を用いた「Flu Alarmin」の候補の検索。
3)「Flu Alarmin」バイオマーカーと末梢循環不全・多臓器不全の因果関係に絞った重点的解析。

次年度の研究費の使用計画

予定していた感染動物実験が、感染動物舎が満室状態となって感染動物実験の時期を遅らせて実施しなければならなくなったたため、マウス購入予定にしていた経費が残額として残った。
平成26年度の5月までに、感染動物舎への入荷が可能となることから、速やかに予定のマウスを購入して実験を実施する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Extraction and quantification of adenosine triphosphate in mammalian tissues and cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Junji Chida, Hiroshi Kido
    • 雑誌名

      Methods Mol. Biol.

      巻: 1098(1) ページ: 21-32

    • DOI

      10.1007/978-1-62703-718-1_2.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Blood lactate/ATP ratio, as an alarm index and real-time biomarker in critical illness.2013

    • 著者名/発表者名
      Junji Chida, Rie Ono, Kazuhiko Yamane, Mineyoshi Hiyoshi, Masaji Nishimura, Mutsuo Onodera, Emiko Nakatani, Koichi Shichijo, Masatomi Matsushita and Hiroshi Kido.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 8(4) ページ: e60561

    • DOI

      doi:10.1371/journal.pone.0060561.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Anti-influenza activity of C60 fullerene derivatives.2013

    • 著者名/発表者名
      Masaki Shoji, Etsuhisa Takahashi, Dai Hatakeyama, Yuma Iwai, Yuka Morita, Riku Shirayama, Noriko Echigo, Hiroshi Kido, Shigeo Nakamura, Tadahiko Mashino, Takeshi Okutani, and Takashi Kuzuhara
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 8(6) ページ: e66337

    • DOI

      doi:10.1371/journal.pone.0066337.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] インフルエンザの生体防御2013

    • 著者名/発表者名
      木戸博、高橋悦久、山根一彦
    • 雑誌名

      感染症内科

      巻: 1(6) ページ: 544-551

  • [雑誌論文] 重症インフルエンザ感染の肺炎・脳症の最新知見と治療提案2013

    • 著者名/発表者名
      木戸博、高橋悦久、山根一彦
    • 雑誌名

      日本臨床内科医会誌

      巻: 27(5) ページ: 578-583

  • [学会発表] インフルエンザ感染による重症化と多臓器不全の代謝改善を基盤とした新たな治療ターゲットとその治療法の開発2013

    • 著者名/発表者名
      山根一彦、山本善一、塙雅明、木戸博
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      横浜パシフィコ (神奈川県)
    • 年月日
      20130911-20130913

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公開日: 2015-05-28  

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