研究課題/領域番号 |
25670548
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 健一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00399940)
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研究分担者 |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 医員 (10645287)
青柳 武史 北海道大学, 大学病院, 医員 (90374347)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 免疫抑制性細胞 / 細胞治療 / 移植免疫 / 分子標的 |
研究概要 |
本研究では、自己由来のリンパ球をex vivoにて免疫抑制能を有する細胞へと誘導し、これを用いた細胞治療による新しい免疫抑制法を探求するため基礎的研究を遂行し、本年度は以下の成果が得られた。制御性樹状細胞(tDC)の誘導:マウス骨髄細胞よりGM-CSF下にアロ抗原ペプチドを添加してDCを誘導した。DCのex vivo誘導に際し、培地にNF-κB阻害剤DHMEQまたはMAPKs抑制剤NK026680を添加してDH-tDC、NK-tDCを誘導した。DH-tDCおよびNK-tDCは共に、コントロールDCに比し、TNFα刺激に対する表面抗原CD40, CD80, CD86, I-Ad発現やIL-12産生を有意に抑制し、直接及び間接認識でのT細胞増殖をともに有意に抑制した。更にマウスアロ心移植モデルにおいてコントロールDCを心移植1週間前にレシピエントマウスに投与するとグラフト生着期間が無治療より短縮したが、DH-tDCまたはNK-tDC投与によりグラフトは長期間生着し、これらtDCの有効性が示された。制御性T細胞(Treg)の誘導:マウス脾細胞をアロ抗原刺激し、DHMEQ、NK026680やAP-1/mTOR/p70S6K阻害剤DTCM-gultamideを添加したところ、CD4+CD25+ T細胞は抑制された。ヒト末梢血単核球をアロ抗原で刺激し抗CD80抗体+CD86抗体下に培養すると、CD4+CD25+Foxp3+, CD4+CD25+CTLA4+, CD4+CD127loFoxp3+などの制御性T細胞が高率に誘導され、これら誘導細胞を添加することにより、アロ抗原で刺激したT細胞増殖は細胞数依存性に抑制された。これは抗CD40抗体下に培養した場合にも同様の結果が得られ、これらの手法によりヒトリンパ球を用いて制御性T細胞が高率に誘導されることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、マウス細胞を用いた免疫抑制性細胞の探索的な基礎研究を行った。主にDCやT細胞で免疫抑制能を有する細胞の誘導を試み、上述の研究成果が得られた。B細胞やマクロファージについては未着手だが、次年度開始を予定していたヒトリンパ球を用いた制御性細胞の誘導実験は開始し、一定の成果が既に得られた。また、平成26年度に使用を予定しているヒト化マウスモデル確立の為の基礎実験にも既に着手しており、総合的に判断し、研究目的を達成するにあたり概ね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には研究計画に従って研究を推進してゆく。即ち、昨年度は主にマウス細胞を用いた探索的基礎研究が中心であったが、平成26年度はヒト細胞を用いた基礎研究を行い、制御性細胞の誘導および本細胞を用いたin vivoでの検討、特にヒト化マウスを用いた検討を中心に研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
B細胞やマクロファージについての検討を次年度に行うこととし、代わりに次年度開始を予定していたヒトリンパ球を用いた実験に着手したことから、約10万円の研究費の次年度使用額が生じた。 繰越研究費は、予定していた実験を平成26年度初頭に行うために使用する。
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