研究課題
自然免疫支配を受ける肝虚血再灌流障害(IRI)におけるT細胞とマクロファージのcross-talkの調整機構を解明すべく本研究に着手した。galectin-9(gal-9)の生体内での保護作用としての機能を、まず血中/組織内のgal-9発現の経時的変化を明らかにし、外因性gal-9投与の有効性につきvivoで実証することができた。この新しい知見を一旦まとめる方針として、前年度末に海外雑誌Liver transplantationへの投稿に至った。査読結果に基づき、再検討の上、再投稿したことで受理され、主に肝IRIにおけるgal-9にfocusを置いた成果を論文としてまとめることができた。gal-9はTim-3 ligandとして報告されており、さらなる機能解明を目的としてTim-3(T細胞上に発現)に着眼して検討予定としていた。Tim-3ノックアウト(KO)(正確にはmutant)マウスの入手(米国ジャクソン研究所より有償分与)に予想以上に時間を要した。無事チャールズリバー社を介して当研究所に搬送され、現在breedingを行っており、最終年度の年度末にようやく使用可能な状況になった。Tim-3KOマウスにおける研究が遅延する可能性が出てきたために、得られたデータをもとにしてまず論文化に踏み切ったのも理由の一つである。また、Tim-3発現を検証するために免疫染色を施行したが同定は困難でありFACS解析した。マウスIRIモデルを作成し末梢血を採取しTim-3発現を検討すると、CD4(+)細胞ではなくCD4(-)細胞にてTIM-3発現を認め、これらはCD11b陽性を示した。Tim-3発現がCD4(+)細胞のみならずマクロファージ、クッパー細胞においても発現していることを示唆しており、脾臓を分離して解析を行っている。引き続きTIM-3KOマウスにおけるgal-9の作用解析を行っていく次第であり、FACS解析結果を踏まえて、得られた知見を次の論文として報告したい。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Liver transplantation
巻: 21 ページ: 969-981
10.1002/lt.24159